松帆神社ブログ第7回・「節分祭」レポート

松帆神社ブログ第7回は、毎年2月3日に斎行される恒例の「節分祭」のレポートです。

伝統行事が廃れていくとの嘆きの声が多い今日この頃ですが、節分行事は今でも「鬼は外、福は内」の掛け声での豆撒きや恵方巻など、根強く全国各地に定着している厄除行事です。厄除八幡・松帆神社においても、この節分祭は厄を祓う大事な冬の行事(といっても暦の上では翌日が「立春」で、二月四日からは春の扱いになるのですが…)として長年続けられてきました。

 

松帆神社の節分祭の主役の一つは、古い御札や御守などをお焚き上げし、その浄火にあたる事で厄を祓う「とんど」になります。本殿・拝殿から階段でおりた山門前の境内の広場に大きな穴を掘り、そこにとんどの元になる御札・御守・古木などを入れ夕方の訪れを待って火を入れるのです。

 

とんどの炎を合図代わりに、夕闇が下りてくる頃になると近隣の氏子の方々のお参りがどんどんと増えてきます。

 

お参りの方々の目当てはとんどの火だけではなく、拝殿の側にもあります。それは松帆神社節分祭のもう一つの主役と言ってもいい「破魔矢」です。破魔矢は正月の縁起物として頒布されている場合が多いのですが、松帆神社では節分祭にて厄除・開運の破魔矢を頒布させていただくのが習わしになっています。また、この節分に合わせて地元の中学校の生徒さんに破魔矢頒布を担当する巫女さんとして来ていただき、華を添えていただくのも恒例となっています。

 

 

実は、この巫女さんの破魔矢頒布場所とは反対側に、お参りの皆様の多くが目当てにしているものがもう一つあるのです。それが、こちらも恒例になっている甘酒のふるまいです。この甘酒は近隣の小田地区にある「保地味噌」さんより甘酒の元を仕入れて、当神社の禰宜が秘伝のレシピで毎年鍋に何杯も作る本格派です。甘酒自体が、食文化の変化の中で目にすることも口にすることも減ってきているのが現状ですが、こうした機会に色々な世代の皆さんに日本人が伝統的に口にしてきた冬の風物詩を思い出していただければと思っております。

 

夜の帳(とばり)が下り辺りが暗闇に包まれると、とんどの火は一段と目に映えその温かさはより強く有り難く感じられます。お参りされる氏子の皆様方から口々に「やっぱり八幡さんのとんどにあたらんと冬が越せんわ」と言っていただけるのが、祭りの運営に携わっている神社役員の皆さんと神職にとっては何よりも嬉しい一瞬なのです。

 

2017年02月12日